< body>

月別アーカイブ

  2006年05月  

外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 「そいじゃな、なみちゃん」
 「元気でな、また会えるの楽しみにしとるからな」
 そう言いながら、お寺へのお供えや、帰りの荷物を乗せたワゴン車に乗り込むと、
 「なみちゃん、ほんまに元気でな〜。」と言いながら、ドアをガタンと閉め、走り出すワゴン車の中から遠く遠く見えなくなるまで、おばちゃんも、ちえちゃんも、さよちゃんも、一人お寺に行けず残った私にいつまでも手を振ってくれた。
 私も精一杯手を振りながら、みんなの手や車が見えなくなるまでずっとその場に立っていた。
 熱い熱い涙が頬をつたって、いくつもいくつも落ちていった。
[2006/05/21 22:09] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(0)
この記事のURL | TOP ▲
外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 (某年9月29日)
 シノから久しぶりに電話がある。
 「知り合いに、ちょっと霊感の強い人がいるんだけど、なみ会ってみない?」
 「え・・・、いつ?」
 「今日の午後2時。」
 「・・・ちょっと急だね・・・」
 「ごめんね・・。その人いろいろ忙しいらしくて・・。でも、今日の午後ならなんとか時間とれるらしいの。なみの身体のこと、すごい気になるし、ねぇ、ちょっと会ってみない?」
 霊感の強い人・・・。
 自分のこの急な体調の変化に、もしかしたら、目に見えないなにか別の理由があるんじゃないか、とは実は考えない事もなかった。それに、正直、今はどんな事にでもすがりたい気持ちがある。
 しばらく考えた後、シノに午後2時、車で向かえに来てもらうことにした。
[2006/05/24 21:38] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(2)
この記事のURL | TOP ▲
外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 てっきり、シノが自分の愛車キャロルで来ると思っていたら、見知らぬ男性が運転する車の後部座席には乗ってやってきた。
 家の外に出て待っていた私を見つけて、シノが車を降りてきた。
 「ごめん、待った?」
 「ううん、そんなことない」
 「とりあえず、車に乗って。紹介するから」
 言われるままに、私はシノの隣、後部座席に乗った。
 なんだか派手な車だ。
 車の色が・・とかではない。車の色はシルバーでごく普通だ。
 車内、特に座席に置いてある座布団がかなり派手だった。
 真っ赤な座布団に、金色や原色の色をたくさん使って虎の絵が刺繍してある。
 「やぁ、あなたがなみさん?」
 その時、運転席の男性がちらっと振り向いた。40は過ぎているだろうと思われる中年男性だった。ポロシャツに綿のベージュのズボンをはいている。どことなく所帯臭さを感じた。体格は少々太め。
 「初めまして。園部なみです。あの・・・」
 「あぁ、私は須波といいます。別に何も話さなくていいから。あなたの顔を見たら、もうだいたいのことはわかりました。とりあえずでかけましょう」
 また運転席越しにちらっとこちらを見ると、須波と名乗ったその男性はサッサと車を出発させた。
[2006/05/26 21:01] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(0)
この記事のURL | TOP ▲
外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 その男性は、とにかくよくしゃべった。
 最近のニュースの事や自分の家族構成などなど・・・。須波さんは、結婚はしているが、子供はいないらしい。
 しばらくは、あいづちをうちながら聞いていたが、そのうちだんだん、またひどく気分が悪くなってきた。
 できれば、早く車を降りたいのだが、いったいどこまで行く気なのだろう・・。もうずいぶん走っている。・・と、その時、須波さんが運転席で前を向いたまま言った。
 「なみさん、あなた今気分が悪いでしょう」
 隣に座っているシノがビックリした顔で私を見る。
 「え?なみ、気持ち悪いの?」
 「ええ、さっきから、とても気分が悪いです」
 「そうでしょう。あのねぇ、あなたが気持ち悪いと、僕までそれがうつっちゃうんだよ。僕もさっきから気分悪いのよねぇ」
 「・・・はぁ」
 「胸もドキドキしてあぶら汗かいてるでしょ」
 「はい」
 「まぁ、もうすぐ着くから、深呼吸でもしてて」
 須波さんは一度も振り向かずにそう言うと、またポツリポツリと世間話をはじめた。
[2006/05/27 23:32] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(0)
この記事のURL | TOP ▲
外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 須波さんの話も耳に入らないくらい、気分悪くて意識がほとんどモウロウとしかけた時スーっと車が止まり、
 「着いたよ」
 と声がした。
 窓の外を見ると、ずいぶん高い場所に来ているようだ。
 「大丈夫、なみ降りれる?」
 よほど、ひどい顔色をしていたのか、シノが心配そうに私の顔をのぞきこんだ。
 「うん、なんとか・・・」
 本当は、とても立ち上がれる気分じゃなかったが、なんとか車のドアを開け外に出た。
 外に出ると、少しヒンヤリした風が吹き、気分も少し楽になった。
 どこか、丘の上だろうか、停めてある車の傍に低い柵があり、そこからは、遠くの山々や海が見え、下の方を走る車はずいぶんと小さく見える。
 「見てごらん、あそこにあるのが、縁切り地蔵です」
 車から降りた須波さんが指さした方を見ると、少し離れた場所に小さなお地蔵様がまつられていた。
[2006/05/28 21:29] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(0)
この記事のURL | TOP ▲
外に出れない=戦い= 
外に出れないーなみの日記ー | TOP ▲
 私達はそこへ、ゆっくりと近づいていった。
 縁切り地蔵。
 それは、色あせた赤い布を肩に羽織り、小さな手を合わせ目は閉じていた。だれが供えたか、白い花瓶に赤い花が飾ってある。
 「これは、その名の通りいろんなものから縁を切ってくれるお地蔵様です。人によって、縁を切りたい物はさまざまでしょう。あなたの場合、その病気と縁を切れるように、ここでお願いしましょう。私が今からお経をあげますので、あなたもそしてシノちゃんも、一緒に手を合わせて、祈ってもらいます」
 
 
[2006/05/29 21:21] | 外に出れないーなみの日記ー | トラックバック(0) | コメント(0)
この記事のURL | TOP ▲
| HOME |