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「そいじゃな、なみちゃん」
「元気でな、また会えるの楽しみにしとるからな」
そう言いながら、お寺へのお供えや、帰りの荷物を乗せたワゴン車に乗り込むと、
「なみちゃん、ほんまに元気でな〜。」と言いながら、ドアをガタンと閉め、走り出すワゴン車の中から遠く遠く見えなくなるまで、おばちゃんも、ちえちゃんも、さよちゃんも、一人お寺に行けず残った私にいつまでも手を振ってくれた。
私も精一杯手を振りながら、みんなの手や車が見えなくなるまでずっとその場に立っていた。
熱い熱い涙が頬をつたって、いくつもいくつも落ちていった。
「元気でな、また会えるの楽しみにしとるからな」
そう言いながら、お寺へのお供えや、帰りの荷物を乗せたワゴン車に乗り込むと、
「なみちゃん、ほんまに元気でな〜。」と言いながら、ドアをガタンと閉め、走り出すワゴン車の中から遠く遠く見えなくなるまで、おばちゃんも、ちえちゃんも、さよちゃんも、一人お寺に行けず残った私にいつまでも手を振ってくれた。
私も精一杯手を振りながら、みんなの手や車が見えなくなるまでずっとその場に立っていた。
熱い熱い涙が頬をつたって、いくつもいくつも落ちていった。
(某年9月29日)
シノから久しぶりに電話がある。
「知り合いに、ちょっと霊感の強い人がいるんだけど、なみ会ってみない?」
「え・・・、いつ?」
「今日の午後2時。」
「・・・ちょっと急だね・・・」
「ごめんね・・。その人いろいろ忙しいらしくて・・。でも、今日の午後ならなんとか時間とれるらしいの。なみの身体のこと、すごい気になるし、ねぇ、ちょっと会ってみない?」
霊感の強い人・・・。
自分のこの急な体調の変化に、もしかしたら、目に見えないなにか別の理由があるんじゃないか、とは実は考えない事もなかった。それに、正直、今はどんな事にでもすがりたい気持ちがある。
しばらく考えた後、シノに午後2時、車で向かえに来てもらうことにした。
シノから久しぶりに電話がある。
「知り合いに、ちょっと霊感の強い人がいるんだけど、なみ会ってみない?」
「え・・・、いつ?」
「今日の午後2時。」
「・・・ちょっと急だね・・・」
「ごめんね・・。その人いろいろ忙しいらしくて・・。でも、今日の午後ならなんとか時間とれるらしいの。なみの身体のこと、すごい気になるし、ねぇ、ちょっと会ってみない?」
霊感の強い人・・・。
自分のこの急な体調の変化に、もしかしたら、目に見えないなにか別の理由があるんじゃないか、とは実は考えない事もなかった。それに、正直、今はどんな事にでもすがりたい気持ちがある。
しばらく考えた後、シノに午後2時、車で向かえに来てもらうことにした。
てっきり、シノが自分の愛車キャロルで来ると思っていたら、見知らぬ男性が運転する車の後部座席には乗ってやってきた。
家の外に出て待っていた私を見つけて、シノが車を降りてきた。
「ごめん、待った?」
「ううん、そんなことない」
「とりあえず、車に乗って。紹介するから」
言われるままに、私はシノの隣、後部座席に乗った。
なんだか派手な車だ。
車の色が・・とかではない。車の色はシルバーでごく普通だ。
車内、特に座席に置いてある座布団がかなり派手だった。
真っ赤な座布団に、金色や原色の色をたくさん使って虎の絵が刺繍してある。
「やぁ、あなたがなみさん?」
その時、運転席の男性がちらっと振り向いた。40は過ぎているだろうと思われる中年男性だった。ポロシャツに綿のベージュのズボンをはいている。どことなく所帯臭さを感じた。体格は少々太め。
「初めまして。園部なみです。あの・・・」
「あぁ、私は須波といいます。別に何も話さなくていいから。あなたの顔を見たら、もうだいたいのことはわかりました。とりあえずでかけましょう」
また運転席越しにちらっとこちらを見ると、須波と名乗ったその男性はサッサと車を出発させた。
家の外に出て待っていた私を見つけて、シノが車を降りてきた。
「ごめん、待った?」
「ううん、そんなことない」
「とりあえず、車に乗って。紹介するから」
言われるままに、私はシノの隣、後部座席に乗った。
なんだか派手な車だ。
車の色が・・とかではない。車の色はシルバーでごく普通だ。
車内、特に座席に置いてある座布団がかなり派手だった。
真っ赤な座布団に、金色や原色の色をたくさん使って虎の絵が刺繍してある。
「やぁ、あなたがなみさん?」
その時、運転席の男性がちらっと振り向いた。40は過ぎているだろうと思われる中年男性だった。ポロシャツに綿のベージュのズボンをはいている。どことなく所帯臭さを感じた。体格は少々太め。
「初めまして。園部なみです。あの・・・」
「あぁ、私は須波といいます。別に何も話さなくていいから。あなたの顔を見たら、もうだいたいのことはわかりました。とりあえずでかけましょう」
また運転席越しにちらっとこちらを見ると、須波と名乗ったその男性はサッサと車を出発させた。
その男性は、とにかくよくしゃべった。
最近のニュースの事や自分の家族構成などなど・・・。須波さんは、結婚はしているが、子供はいないらしい。
しばらくは、あいづちをうちながら聞いていたが、そのうちだんだん、またひどく気分が悪くなってきた。
できれば、早く車を降りたいのだが、いったいどこまで行く気なのだろう・・。もうずいぶん走っている。・・と、その時、須波さんが運転席で前を向いたまま言った。
「なみさん、あなた今気分が悪いでしょう」
隣に座っているシノがビックリした顔で私を見る。
「え?なみ、気持ち悪いの?」
「ええ、さっきから、とても気分が悪いです」
「そうでしょう。あのねぇ、あなたが気持ち悪いと、僕までそれがうつっちゃうんだよ。僕もさっきから気分悪いのよねぇ」
「・・・はぁ」
「胸もドキドキしてあぶら汗かいてるでしょ」
「はい」
「まぁ、もうすぐ着くから、深呼吸でもしてて」
須波さんは一度も振り向かずにそう言うと、またポツリポツリと世間話をはじめた。
最近のニュースの事や自分の家族構成などなど・・・。須波さんは、結婚はしているが、子供はいないらしい。
しばらくは、あいづちをうちながら聞いていたが、そのうちだんだん、またひどく気分が悪くなってきた。
できれば、早く車を降りたいのだが、いったいどこまで行く気なのだろう・・。もうずいぶん走っている。・・と、その時、須波さんが運転席で前を向いたまま言った。
「なみさん、あなた今気分が悪いでしょう」
隣に座っているシノがビックリした顔で私を見る。
「え?なみ、気持ち悪いの?」
「ええ、さっきから、とても気分が悪いです」
「そうでしょう。あのねぇ、あなたが気持ち悪いと、僕までそれがうつっちゃうんだよ。僕もさっきから気分悪いのよねぇ」
「・・・はぁ」
「胸もドキドキしてあぶら汗かいてるでしょ」
「はい」
「まぁ、もうすぐ着くから、深呼吸でもしてて」
須波さんは一度も振り向かずにそう言うと、またポツリポツリと世間話をはじめた。
須波さんの話も耳に入らないくらい、気分悪くて意識がほとんどモウロウとしかけた時スーっと車が止まり、
「着いたよ」
と声がした。
窓の外を見ると、ずいぶん高い場所に来ているようだ。
「大丈夫、なみ降りれる?」
よほど、ひどい顔色をしていたのか、シノが心配そうに私の顔をのぞきこんだ。
「うん、なんとか・・・」
本当は、とても立ち上がれる気分じゃなかったが、なんとか車のドアを開け外に出た。
外に出ると、少しヒンヤリした風が吹き、気分も少し楽になった。
どこか、丘の上だろうか、停めてある車の傍に低い柵があり、そこからは、遠くの山々や海が見え、下の方を走る車はずいぶんと小さく見える。
「見てごらん、あそこにあるのが、縁切り地蔵です」
車から降りた須波さんが指さした方を見ると、少し離れた場所に小さなお地蔵様がまつられていた。
「着いたよ」
と声がした。
窓の外を見ると、ずいぶん高い場所に来ているようだ。
「大丈夫、なみ降りれる?」
よほど、ひどい顔色をしていたのか、シノが心配そうに私の顔をのぞきこんだ。
「うん、なんとか・・・」
本当は、とても立ち上がれる気分じゃなかったが、なんとか車のドアを開け外に出た。
外に出ると、少しヒンヤリした風が吹き、気分も少し楽になった。
どこか、丘の上だろうか、停めてある車の傍に低い柵があり、そこからは、遠くの山々や海が見え、下の方を走る車はずいぶんと小さく見える。
「見てごらん、あそこにあるのが、縁切り地蔵です」
車から降りた須波さんが指さした方を見ると、少し離れた場所に小さなお地蔵様がまつられていた。
私達はそこへ、ゆっくりと近づいていった。
縁切り地蔵。
それは、色あせた赤い布を肩に羽織り、小さな手を合わせ目は閉じていた。だれが供えたか、白い花瓶に赤い花が飾ってある。
「これは、その名の通りいろんなものから縁を切ってくれるお地蔵様です。人によって、縁を切りたい物はさまざまでしょう。あなたの場合、その病気と縁を切れるように、ここでお願いしましょう。私が今からお経をあげますので、あなたもそしてシノちゃんも、一緒に手を合わせて、祈ってもらいます」
縁切り地蔵。
それは、色あせた赤い布を肩に羽織り、小さな手を合わせ目は閉じていた。だれが供えたか、白い花瓶に赤い花が飾ってある。
「これは、その名の通りいろんなものから縁を切ってくれるお地蔵様です。人によって、縁を切りたい物はさまざまでしょう。あなたの場合、その病気と縁を切れるように、ここでお願いしましょう。私が今からお経をあげますので、あなたもそしてシノちゃんも、一緒に手を合わせて、祈ってもらいます」
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