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(某年8月14日)
陽が傾き少し暗くなってきてから、私達家族は父の車で、みたままつりに出かけた。神社は表まで人でにぎわっており、境内には綿菓子や林檎アメなどの夜店がたくさん出ていて、いい香りを漂わせている。ブラブラと夜店を見ながら歩いて行ったので、提灯があるところに着いた時にはもうすっかり陽が落ちていた。暗い空の下、たくさんの提灯が明々と輝いている。でも、提灯の数は年々減っていってるらしい。確かに私が小さかった頃より、提灯が飾られてない箇所がやたらと目についた。明るい中、そういう所だけはやけに暗く寂しげに見えた。 私達は早速、たくさんの提灯の中から祖父の名前の書かれた提灯を探した。
子供の頃は、夏休みになるといつも泊まりに来ていた3人のいとこたちと、きゃ〜きゃ〜言いながら、誰が一番早く提灯を見つけられるか競争したものだった。でも、そのいとこたちも、中学にあがってからはだんだんこなくなった。
しばらく探すと祖父の提灯が見つかった。名前の右下にはすみれの花が淡い水彩で描いてある。
「綺麗ね」
「ほんと、綺麗な絵が描いてあるね」
しばらく、提灯を見つめた後ゆっくりと、また、もと来た道を歩き始めた。
しばらく歩いて後ろを振り向くと、たくさんの提灯の明かりがぼんやりとやわらかく輝いていた。
陽が傾き少し暗くなってきてから、私達家族は父の車で、みたままつりに出かけた。神社は表まで人でにぎわっており、境内には綿菓子や林檎アメなどの夜店がたくさん出ていて、いい香りを漂わせている。ブラブラと夜店を見ながら歩いて行ったので、提灯があるところに着いた時にはもうすっかり陽が落ちていた。暗い空の下、たくさんの提灯が明々と輝いている。でも、提灯の数は年々減っていってるらしい。確かに私が小さかった頃より、提灯が飾られてない箇所がやたらと目についた。明るい中、そういう所だけはやけに暗く寂しげに見えた。 私達は早速、たくさんの提灯の中から祖父の名前の書かれた提灯を探した。
子供の頃は、夏休みになるといつも泊まりに来ていた3人のいとこたちと、きゃ〜きゃ〜言いながら、誰が一番早く提灯を見つけられるか競争したものだった。でも、そのいとこたちも、中学にあがってからはだんだんこなくなった。
しばらく探すと祖父の提灯が見つかった。名前の右下にはすみれの花が淡い水彩で描いてある。
「綺麗ね」
「ほんと、綺麗な絵が描いてあるね」
しばらく、提灯を見つめた後ゆっくりと、また、もと来た道を歩き始めた。
しばらく歩いて後ろを振り向くと、たくさんの提灯の明かりがぼんやりとやわらかく輝いていた。
(某年8月17日)
今日は母と少し離れたスーパーまで、歩いていってみたが、途中でひどく気分が悪くなり、結局スーパーに行く途中で引き返すこととなった。
家に帰り着くまでは気持ち悪いのと、頭がもうろうとする中早く横になりたいと、ただその事で頭がいっぱいだったが、家に着きベットに倒れこみ30分ほどして気分がおさまると、元気だった時は何てこともなく行けたスーパーにも行けない自分の悲しさ情けなさと、せっかく買い物に出かけたのに、母に対してまた申し訳ない事をしてしまったと、激しい自己嫌悪に襲われ、涙がポロポロとこぼれた。
今日は母と少し離れたスーパーまで、歩いていってみたが、途中でひどく気分が悪くなり、結局スーパーに行く途中で引き返すこととなった。
家に帰り着くまでは気持ち悪いのと、頭がもうろうとする中早く横になりたいと、ただその事で頭がいっぱいだったが、家に着きベットに倒れこみ30分ほどして気分がおさまると、元気だった時は何てこともなく行けたスーパーにも行けない自分の悲しさ情けなさと、せっかく買い物に出かけたのに、母に対してまた申し訳ない事をしてしまったと、激しい自己嫌悪に襲われ、涙がポロポロとこぼれた。
(某年8月26日)
「区役所で臨時職員として、働いてみらんかね」
昼食の時、突然父が言った。
「病気でもないのに、毎日家にいてもしかたないやろう。区役所に知り合いがいるから、お前のこと話しておいた。来月からでも、行ってみなさい」
・・・一瞬言葉がでなかった。
「でも・・・、バスに乗ると気分悪くなるし・・」
「区役所までだったら、ほんの3駅やろうもん。それに、バスじゃなくても、自転車で行ける距離やないね」
「・・・・・」
「どうしたとね?前働いてたとこより、ずっと近いっちゃけん、通えるやろうもん。家でごろごろしとうけん、いつまでたってもよくならんったい!」
父はいつもこうだった。自分で私のことまで勝手に決めて、それを無理に押し付けてくる。もし、嫌だと反抗すれば火がついたように怒り出すのだ。私は無理だ、自信ないと言いたかった。けれど、すでにイライラし始めている父の顔を見ると恐くて言葉が出ない。
「返事がないようやけど、どうするとね」
「・・・・・でも・・また具合悪くならないかと不安だし・・」
「じゃあ、このままずっと家にいるとね!いい年した娘が。もうむこうに話はしてるとよ!」
「そんな事言われたって・・」
「とにかく、来月から行くつもりでいなさい!いいね!」
そう言うと、イライラした顔をして父はさっさと食卓を立った。
私は突然の事に、うつむいて唇を噛んだ。
父がテレビの近くのソファーで貧乏ゆすりをしている。
(行きたくない、自身がない・・)どれも言葉にならなかった。
ただ、勝手に区役所勤務を決めた父に対してむしょうに腹がたった。
でも、そんな気持ちを父に言うのは恐くてできない。怒り出すのは目に見えている。
私はガタンっと音をたて立ち上がり、部屋に走っていっきベットに横になった。こんな不安定な体調で働きにいかねばならないという理不尽な決定にどうしたらいいのか、なにも考えがうかばない。
確かに前務めていた所に比べたら、区役所はずっと近い。でも、この前は近所のスーパーにも行けなかったのだ。そんな私が毎日通勤して働くなんて、とても自信がない。
確かに私は体のどこかが悪いわけではない。それは、内科でも言われた。気持ちがたるんでるせいだと言われれば正直返す言葉もない。でも、ここが悪いというはっきりしたものがなくても、体調が普通ではないのは事実なのだ。しかし、それを健康な人にいくら話したって、いったい誰がちゃんと理解してくれるだろうか?
一気に疲れた・・。なによりも私が一番もとの元気な身体に戻りたい。幾度そう思ったことか。でも、原因もわからぬまま、どんどん外にでるのが恐くなるばかり・・・。もう、何も考えたくない、このままこんな状態が続くのなら、いっそ死にたい・・。そうだ、そうしたら父がなんと言おうと区役所に働きに行かなくてもすむ、具合が悪くなって苦しい思いもしなくてすむ・・。
私はドレッサーに行き剃刀をとった。剃刀の刃がにぶく光っている。私は剃刀を手首に持っていき、軽く刃先でこすった。うっすらと血が滲んでくる。もう一度こすりつける。さっきより、もう少しはっきり血で赤い線が出来た。でも滲んだ血はまだ滴り落ちるほどではない。
(もう一度、こんどは力をいれてもっともっと深く。ザックリと・・・。そうすれば、もうなにも悩まなくてすむ、なにも考えなくてすむのだから・・・・・)
剃刀を握る右手にグッと力をいれた。そして、そのまま剃刀をかすかに血が滲んだ左手の手首に・・・。
でも、いざ剃刀をあてようとすると、フッと力が抜ける。
「駄目、しっかり切らなきゃ、もう終わりにするんでしょ!」
そう思いながら剃刀を手前にグッと引くが力が入らない。もう一度剃刀をあて手前に引く・・・でも力が入らない。手首には、うっすら血の滲んだ線だけが本数を増やした。
剃刀を投げ出し、バタンっと床につっぷした。
私は死ぬ勇気もない人間なのだ。父に反論もできず、かといって死のうと思ってもその勇気もない人間だったのだ。
声を出して泣いた。とにかく泣いた。
床に落ちた剃刀の刃が午後の日差しにまぶしく光っていた。
「区役所で臨時職員として、働いてみらんかね」
昼食の時、突然父が言った。
「病気でもないのに、毎日家にいてもしかたないやろう。区役所に知り合いがいるから、お前のこと話しておいた。来月からでも、行ってみなさい」
・・・一瞬言葉がでなかった。
「でも・・・、バスに乗ると気分悪くなるし・・」
「区役所までだったら、ほんの3駅やろうもん。それに、バスじゃなくても、自転車で行ける距離やないね」
「・・・・・」
「どうしたとね?前働いてたとこより、ずっと近いっちゃけん、通えるやろうもん。家でごろごろしとうけん、いつまでたってもよくならんったい!」
父はいつもこうだった。自分で私のことまで勝手に決めて、それを無理に押し付けてくる。もし、嫌だと反抗すれば火がついたように怒り出すのだ。私は無理だ、自信ないと言いたかった。けれど、すでにイライラし始めている父の顔を見ると恐くて言葉が出ない。
「返事がないようやけど、どうするとね」
「・・・・・でも・・また具合悪くならないかと不安だし・・」
「じゃあ、このままずっと家にいるとね!いい年した娘が。もうむこうに話はしてるとよ!」
「そんな事言われたって・・」
「とにかく、来月から行くつもりでいなさい!いいね!」
そう言うと、イライラした顔をして父はさっさと食卓を立った。
私は突然の事に、うつむいて唇を噛んだ。
父がテレビの近くのソファーで貧乏ゆすりをしている。
(行きたくない、自身がない・・)どれも言葉にならなかった。
ただ、勝手に区役所勤務を決めた父に対してむしょうに腹がたった。
でも、そんな気持ちを父に言うのは恐くてできない。怒り出すのは目に見えている。
私はガタンっと音をたて立ち上がり、部屋に走っていっきベットに横になった。こんな不安定な体調で働きにいかねばならないという理不尽な決定にどうしたらいいのか、なにも考えがうかばない。
確かに前務めていた所に比べたら、区役所はずっと近い。でも、この前は近所のスーパーにも行けなかったのだ。そんな私が毎日通勤して働くなんて、とても自信がない。
確かに私は体のどこかが悪いわけではない。それは、内科でも言われた。気持ちがたるんでるせいだと言われれば正直返す言葉もない。でも、ここが悪いというはっきりしたものがなくても、体調が普通ではないのは事実なのだ。しかし、それを健康な人にいくら話したって、いったい誰がちゃんと理解してくれるだろうか?
一気に疲れた・・。なによりも私が一番もとの元気な身体に戻りたい。幾度そう思ったことか。でも、原因もわからぬまま、どんどん外にでるのが恐くなるばかり・・・。もう、何も考えたくない、このままこんな状態が続くのなら、いっそ死にたい・・。そうだ、そうしたら父がなんと言おうと区役所に働きに行かなくてもすむ、具合が悪くなって苦しい思いもしなくてすむ・・。
私はドレッサーに行き剃刀をとった。剃刀の刃がにぶく光っている。私は剃刀を手首に持っていき、軽く刃先でこすった。うっすらと血が滲んでくる。もう一度こすりつける。さっきより、もう少しはっきり血で赤い線が出来た。でも滲んだ血はまだ滴り落ちるほどではない。
(もう一度、こんどは力をいれてもっともっと深く。ザックリと・・・。そうすれば、もうなにも悩まなくてすむ、なにも考えなくてすむのだから・・・・・)
剃刀を握る右手にグッと力をいれた。そして、そのまま剃刀をかすかに血が滲んだ左手の手首に・・・。
でも、いざ剃刀をあてようとすると、フッと力が抜ける。
「駄目、しっかり切らなきゃ、もう終わりにするんでしょ!」
そう思いながら剃刀を手前にグッと引くが力が入らない。もう一度剃刀をあて手前に引く・・・でも力が入らない。手首には、うっすら血の滲んだ線だけが本数を増やした。
剃刀を投げ出し、バタンっと床につっぷした。
私は死ぬ勇気もない人間なのだ。父に反論もできず、かといって死のうと思ってもその勇気もない人間だったのだ。
声を出して泣いた。とにかく泣いた。
床に落ちた剃刀の刃が午後の日差しにまぶしく光っていた。
(某年8月27日)
夕べ、そのまま顔も洗わず寝てしまった私は、とても階下に降りる気になれず、ぼんやりと壁を見つめていた。どこかへ消えてしまいたい気持ちは変わってなかった。
階段の近くにある収納庫に足音をたてないように行き、電話帳を持ってくると、その中の教会のページをめくった。ふと、○○会聖母修道院という名前が目についた。
(修道女になりたい)
突然、私の中で強い思いが芽生えた。
平常心なら、少しはとまどったり、あるいはそういう考えも浮かばなかったかもしれないが、今の私に平常心というものはなく、家を出たい、外で働かなければならないというこの現状からとにかく抜け出したかった。
なんの迷いもなく、ダイヤルを押すと、おっとりとした女性が電話口にでた。
「○○修道院、伊藤といいますが」
「・・初めまして。突然のお電話で申し訳ありません。実は、お願いがあるのですが・・・」
「どうしたのですか?」あくまで、伊藤と名乗ったおそらく40代くらいの女性の口調は穏やかだった。
私は今までのことをできる限り彼女に話した。原因不明の体調不良、働けなくなったこと、外出が恐くてできないこと、父に働くよう言われたことなど・・・。
話し終わり、興奮で心臓がドキドキした状態のまま、伊藤さんの言葉を待った。
「大変な思いをされているんですね・・。私は経験したことがないけれど、あなたのつらさはとても心に響きましたよ。もし、気分のいい日があれば、教会にお祈りにきてみませんか?」
「そ、そのことで、お話があるのですが・・・私、教会に入りたいんです!修道女になりたいんです!」
しばらく沈黙があった。
「・・そう、そこまで追い詰められているの・・・」
「・・・」
「あなたのお気持ちはとてもわかりますよ。・・でもね、修道女というのは、たぶんあなたが考えているのとは違うと思うの。」
「・・・」
「例えば、一日の始まりにはとても早起きして、教会やそのまわりをお掃除、そのあと、食事の用意、礼拝、ときには、交代で買い物に行ったり、信者さんを呼んでミサを開いたり、病院などに慰問にいったり、畑を耕したり、とても体力がいるし、健康でないと勤まらないのよ」
「・・じゃあ、私は教会にも入れないんですね・・・」とめどなく涙が溢れた。
「・・まずは、身体と心を元気にしましょう。それでも教会のお仕事をしたいというのなら、もちろん歓迎しますよ。あなたは、まだ若いんだし、きっと身体も元気になって、これからはいいことがたくさんあると思いますよ。だって、今とてもつらいんですものね・・。あとは、きっといいことが待ってるはずですよ」
「・・す、すみません、もうどうしたらいいのかわからない・・」私は泣きじゃくりながら言った。
「私は今日から3日間あなたのために、お祈りします。神様はきっと見てますよ。大きく深呼吸して、まずは心を落ち着けて、なにもあせることはないんですよ」
「・・・わかりました。突然のお電話申し訳ありませんでした」
「いつか、元気になったあなたとお会いできるのを楽しみにしていますよ」
電話を切った後、電話機を抱きかかえるようにして、私は大声で泣いた。とにかく、泣きたかった。
夕べ、そのまま顔も洗わず寝てしまった私は、とても階下に降りる気になれず、ぼんやりと壁を見つめていた。どこかへ消えてしまいたい気持ちは変わってなかった。
階段の近くにある収納庫に足音をたてないように行き、電話帳を持ってくると、その中の教会のページをめくった。ふと、○○会聖母修道院という名前が目についた。
(修道女になりたい)
突然、私の中で強い思いが芽生えた。
平常心なら、少しはとまどったり、あるいはそういう考えも浮かばなかったかもしれないが、今の私に平常心というものはなく、家を出たい、外で働かなければならないというこの現状からとにかく抜け出したかった。
なんの迷いもなく、ダイヤルを押すと、おっとりとした女性が電話口にでた。
「○○修道院、伊藤といいますが」
「・・初めまして。突然のお電話で申し訳ありません。実は、お願いがあるのですが・・・」
「どうしたのですか?」あくまで、伊藤と名乗ったおそらく40代くらいの女性の口調は穏やかだった。
私は今までのことをできる限り彼女に話した。原因不明の体調不良、働けなくなったこと、外出が恐くてできないこと、父に働くよう言われたことなど・・・。
話し終わり、興奮で心臓がドキドキした状態のまま、伊藤さんの言葉を待った。
「大変な思いをされているんですね・・。私は経験したことがないけれど、あなたのつらさはとても心に響きましたよ。もし、気分のいい日があれば、教会にお祈りにきてみませんか?」
「そ、そのことで、お話があるのですが・・・私、教会に入りたいんです!修道女になりたいんです!」
しばらく沈黙があった。
「・・そう、そこまで追い詰められているの・・・」
「・・・」
「あなたのお気持ちはとてもわかりますよ。・・でもね、修道女というのは、たぶんあなたが考えているのとは違うと思うの。」
「・・・」
「例えば、一日の始まりにはとても早起きして、教会やそのまわりをお掃除、そのあと、食事の用意、礼拝、ときには、交代で買い物に行ったり、信者さんを呼んでミサを開いたり、病院などに慰問にいったり、畑を耕したり、とても体力がいるし、健康でないと勤まらないのよ」
「・・じゃあ、私は教会にも入れないんですね・・・」とめどなく涙が溢れた。
「・・まずは、身体と心を元気にしましょう。それでも教会のお仕事をしたいというのなら、もちろん歓迎しますよ。あなたは、まだ若いんだし、きっと身体も元気になって、これからはいいことがたくさんあると思いますよ。だって、今とてもつらいんですものね・・。あとは、きっといいことが待ってるはずですよ」
「・・す、すみません、もうどうしたらいいのかわからない・・」私は泣きじゃくりながら言った。
「私は今日から3日間あなたのために、お祈りします。神様はきっと見てますよ。大きく深呼吸して、まずは心を落ち着けて、なにもあせることはないんですよ」
「・・・わかりました。突然のお電話申し訳ありませんでした」
「いつか、元気になったあなたとお会いできるのを楽しみにしていますよ」
電話を切った後、電話機を抱きかかえるようにして、私は大声で泣いた。とにかく、泣きたかった。
(某年8月28日)
その日の午前中、区役所の吉田という人が来る。年のころは40代後半か・・。私も呼ばれ、はれぼったい目を隠す為、眼鏡をかけて階下に降りた。
父の知り合いだろう、大きな声で賑やかに二人でしゃべっている。母はいそいそと、お茶を用意していた。
ふと、吉田という人と目があい、私は軽くお辞儀をした。
「いやぁ〜、こちらがおたくのなみさんですか。いや、まじめそうなお嬢さんだ」
母に座りなさいと、小声で言われ父の隣に座った。
「お父さんから聞いたんだけど、今仕事してないんだって?」
「・・はい」
「そうか、ならちょうどいい。いまね、忙しくて人手が足りんのだよ。是非区役所で、臨時職員として働いてもらいたいのだが」
「もちろんです。ありがたいことで、娘も私も喜んでおりました」
私が答えるより先に、父が満面の笑みで答えた。
「そりゃあよかった!じゃあ、10日ほど先になるけど9月9日から着ていただこうかな?」
吉田さんが私の顔を覗き込む。私は・・・はいと答えるしかなかった。
その後、吉田さんは父と楽しげに会話した後、「では、仕事にもどります。おじゃましました」と言って帰って行った。もう、戻れない、話がここまで進んでいるのだ。それに、私も行けませんとは言えなかったのだから・・・。
その日の午前中、区役所の吉田という人が来る。年のころは40代後半か・・。私も呼ばれ、はれぼったい目を隠す為、眼鏡をかけて階下に降りた。
父の知り合いだろう、大きな声で賑やかに二人でしゃべっている。母はいそいそと、お茶を用意していた。
ふと、吉田という人と目があい、私は軽くお辞儀をした。
「いやぁ〜、こちらがおたくのなみさんですか。いや、まじめそうなお嬢さんだ」
母に座りなさいと、小声で言われ父の隣に座った。
「お父さんから聞いたんだけど、今仕事してないんだって?」
「・・はい」
「そうか、ならちょうどいい。いまね、忙しくて人手が足りんのだよ。是非区役所で、臨時職員として働いてもらいたいのだが」
「もちろんです。ありがたいことで、娘も私も喜んでおりました」
私が答えるより先に、父が満面の笑みで答えた。
「そりゃあよかった!じゃあ、10日ほど先になるけど9月9日から着ていただこうかな?」
吉田さんが私の顔を覗き込む。私は・・・はいと答えるしかなかった。
その後、吉田さんは父と楽しげに会話した後、「では、仕事にもどります。おじゃましました」と言って帰って行った。もう、戻れない、話がここまで進んでいるのだ。それに、私も行けませんとは言えなかったのだから・・・。
(某年9月1日)
朝、シノから電話があった。
「ねぇねぇ、今日一緒にプラネタリウムでも見に行かない?」
せっかくの誘いだったが、区役所の吉田さんが来てからというもの、日に日に近づいてくる(9月9日)が恐ろしくて、夜も眠れない日々が続いていたし、最近前にもまして食事が喉を通らなくなり、この日も、ひどく気だるかったので、誘いを断り、ベットにもぐりこむと、私は布団を頭からかぶった。
朝、シノから電話があった。
「ねぇねぇ、今日一緒にプラネタリウムでも見に行かない?」
せっかくの誘いだったが、区役所の吉田さんが来てからというもの、日に日に近づいてくる(9月9日)が恐ろしくて、夜も眠れない日々が続いていたし、最近前にもまして食事が喉を通らなくなり、この日も、ひどく気だるかったので、誘いを断り、ベットにもぐりこむと、私は布団を頭からかぶった。
今日、ブログに新しいコメントがあったので嬉しくてURLを開いたら、アダルトサイト。しかも、突然たくさんのアルファベットがズラ〜っと画面いっぱいに並んだと思うと、「契約完了しました。72時間以内に39,000円振り込んでください」という文字が画面に出てきました。とてもショックで涙出そうです。「あなたの情報は全部取り込みました」って書いてあったから、お金振り込まないと後でしつこく請求されたり、大変な目にあうのでしょうか?・・でも、そんなお金ありません!とても恐いし、どうしたらいいかわからないし、すごいショックです・・・。悲しいです。
(某年9月9日)
朝、目覚めた時思わずため息が出た。
(とうとう、この日がきてしまった・・・)
胸に石がつかえたような感じがする。
とにかく、用意しなければ・・・。
顔を洗い、久しぶりに化粧をし、着替えると階下に降りていった。テーブルに座り、母の用意してくれた朝食を食べようとするが、2口ほど食べたらもう身体が受け付けなかった。
時間は刻々と過ぎていく。
私は、テーブルから立ち上がり玄関に向かった。すると、
「なみ、ちょっと待ちなさい」
父の声だ。
「顔が真っ青だ・・。また、具合悪いのか?やはりお前には無理だったな。今からお父さんもお母さんも一緒に行くから、区役所に誤りに行こう」
「え・・・?」
朝、目覚めた時思わずため息が出た。
(とうとう、この日がきてしまった・・・)
胸に石がつかえたような感じがする。
とにかく、用意しなければ・・・。
顔を洗い、久しぶりに化粧をし、着替えると階下に降りていった。テーブルに座り、母の用意してくれた朝食を食べようとするが、2口ほど食べたらもう身体が受け付けなかった。
時間は刻々と過ぎていく。
私は、テーブルから立ち上がり玄関に向かった。すると、
「なみ、ちょっと待ちなさい」
父の声だ。
「顔が真っ青だ・・。また、具合悪いのか?やはりお前には無理だったな。今からお父さんもお母さんも一緒に行くから、区役所に誤りに行こう」
「え・・・?」
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