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「そうです。あまり知られていないのですが、自律神経が乱れると、さまざまな症状が起こるんですよ。例えば、疲れがなかなかとれない、朝すっきり起きれない、やる気が起きない、ほかにも頭痛、肩こり、めまいなど・・・。あなたの場合、自律神経機能の低下によって内臓の働きも低下しそれが胃の不調となって出てきているのでしょう」
「はぁ・・・」
「でも、安心してください。自律神経系疾患には漢方薬が一番効きます!しばらくの間、頑張って根気よく飲み続ければ必ず良くなりますよ」
そう言うと、たくさん置いてある漢方薬の中からサッサッと3つの薬を選びテーブルの上に置くと、「朝鮮人参をはじめとする漢方薬です。これらを、最低でも3ヶ月は続けてみましょう。あと、紅しょうがでもいいので、とにかくしょうがをたくさん食べるようにしてみて下さい」
「・・・はい」
「それではお会計、お薬10日分で1万5千円となります」
「・・・・・・・・・!」
ウッソー!!!
漢方薬だから高いのは覚悟していたけど、10日分で1万5千円??
ってことは1ヶ月・・・4万5千円???
ウワァー!!っと思ったけど、なにやら後ろに次のお客さんらしき年配の女性が待っていたのでしかたなく急いでお金を払った。
「お薬がなくなったら、また来てくださいね。とにかくちゃんと続けて飲むんですよ」
「わかりました」と言うやいなや、急いで店を出た。
「ゲーっ、たっかーい!こんなの飲み続けてたら破産じゃん!・・・・・。でも、あのおじさんの言うこと説得力あったしな・・、ジリツシンケイとか言ってたけど、おじさんの言ってた疲れがとれないとか、肩こりとかって症状もあるし、ただの胃炎じゃなくてジリツシンケイが原因だったのかなぁ・・・。
漢方薬の入ったビニール袋が歩くたびにチャリチャリ音をたてる。
お金はかなり痛いけど、とにかく飲んでみよう。あと・・しょうがを食べるんだっけ。とにかく早く治りたいし。
もう夕日が沈みかけていた。少しまた、胸がドキドキしてきて手が汗ばんでいる。家路につく足取りが自然と早くなり呼吸も速くなっていた。
「はぁ・・・」
「でも、安心してください。自律神経系疾患には漢方薬が一番効きます!しばらくの間、頑張って根気よく飲み続ければ必ず良くなりますよ」
そう言うと、たくさん置いてある漢方薬の中からサッサッと3つの薬を選びテーブルの上に置くと、「朝鮮人参をはじめとする漢方薬です。これらを、最低でも3ヶ月は続けてみましょう。あと、紅しょうがでもいいので、とにかくしょうがをたくさん食べるようにしてみて下さい」
「・・・はい」
「それではお会計、お薬10日分で1万5千円となります」
「・・・・・・・・・!」
ウッソー!!!
漢方薬だから高いのは覚悟していたけど、10日分で1万5千円??
ってことは1ヶ月・・・4万5千円???
ウワァー!!っと思ったけど、なにやら後ろに次のお客さんらしき年配の女性が待っていたのでしかたなく急いでお金を払った。
「お薬がなくなったら、また来てくださいね。とにかくちゃんと続けて飲むんですよ」
「わかりました」と言うやいなや、急いで店を出た。
「ゲーっ、たっかーい!こんなの飲み続けてたら破産じゃん!・・・・・。でも、あのおじさんの言うこと説得力あったしな・・、ジリツシンケイとか言ってたけど、おじさんの言ってた疲れがとれないとか、肩こりとかって症状もあるし、ただの胃炎じゃなくてジリツシンケイが原因だったのかなぁ・・・。
漢方薬の入ったビニール袋が歩くたびにチャリチャリ音をたてる。
お金はかなり痛いけど、とにかく飲んでみよう。あと・・しょうがを食べるんだっけ。とにかく早く治りたいし。
もう夕日が沈みかけていた。少しまた、胸がドキドキしてきて手が汗ばんでいる。家路につく足取りが自然と早くなり呼吸も速くなっていた。
(某年7月5日)
あの高い漢方薬が効いてきたのか、それともしょうがを毎日食べ続けたおかげか、なんか少し食欲が出て胃も軽い感じ!今日は久々に会社に行く事にした。うん、化粧のノリもいい感じだわ!朝食前に漢方薬飲んでしょうがを食べて、よーし!いざしゅっぱーつ!バス亭までも割とスムーズに歩けたし、バスにも・・・ちょっとなまつばごっくんしたけど、なんとか乗れた!やったー!!!・・・っと思ったのもつかの間、バスが半分ほどきた頃、呼吸が少し苦しくなり手すりを握っている手も汗でビッショリ・・。心臓もドキドキドキ・・・。
「お願い、早く着いて・・」
そう思いながら具合の悪さを紛らわせたくて、ギュっと下唇を噛んだ。 少し気が遠くなりかけた頃、やっと会社近くのバス停に着いた。うつむき加減で足早にオフィスビルに入り会社のドアを開けると、いきなり先輩の顔。
「あら、なみちゃんお久しぶり」
「せ、先輩、お久しぶりです。長々とお休みさせていただいて申し訳ありません・・・あの、着いたばかりで何なんですが・・・少し奥で休ませていただいてもよろしいでしょうか・・」
「えっ?また具合わるいの?・・そういえば顔色が・・・、いいよ、休んでて」
すみませんと頭を下げて、パソコンが5台づつ3列に並んでる部屋を抜け、その奥の昼食などを食べる畳の部屋に行き、バックを置くのも、もどかしく横になった。あいかわらず心臓はドキドキしてるし、頭はボーっとして気持ちも悪い。
しばらくすると閉めてあるふすまの向こうで、CADを習いに来ている人たちの話し声や物音が聞こえてきた。ここは、いろいろな建設会社の新入社員や、少し年配の子会社の社長さんなどがCADを習いに来ていた。先輩がなにやら説明する声が聞こえると、その後カチャ、カチャ・・とキーをたたく音だけが聞こえ始めた。その音を聞きながら、私は少しウトウトした・・。
昼のチャイムが鳴り、習いにきていた人達が食事に出て行くと、先輩がお弁当を持って、ガラッと入ってきた。
「なみちゃん、お昼ご飯は?」
「・・はい、買ってこようと思ったのですが、具合悪くなって買って来ていません」
「そう、なんか出前とる?」
「いいえ・・食べれそうにないので・・。すみませんが、もう少し横になっていてもいいですか?」
「うん」
そう言うと先輩はテレビをつけ、コンビニの弁当をバリバリ音をたてながら開けた。プーンと揚げ物や煮物の匂いがして、思わず鼻を押さえた。今の状態の私にはこれらの匂いはきつい!先輩は、私の存在など無視するように、テレビの方を向きクチャクチャ、音をたてながら食べる。
しばらく我慢してたけど、もう限界・・。すっかり気持ち悪くなってしまった。
「あの・・・すみません」
「ん?何?」
「あの・・・・・、やっぱり体調良くなりそうにないので、本当に申し訳ないんですけど今日はもう帰らせていただいてもいいですか・・」
「うん、その方がいいかもね。ちゃんと帰れる?」
「はい、久しぶりにきたのに、こんな事になってすみませんでした」
失礼しますと頭を下げ逃げるように部屋を出た。階段まで来ると少し深呼吸する。・・だめだ、まだお弁当の匂いが鼻についてなんかムカムカする・・・。下に降りてタクシーをひろい乗り込んだ。
タクシーの中で、気持ち悪くならないように両手をギューっと痛いほど握り締める。 窓から見上げた空は、もう夏のように青かった。
あの高い漢方薬が効いてきたのか、それともしょうがを毎日食べ続けたおかげか、なんか少し食欲が出て胃も軽い感じ!今日は久々に会社に行く事にした。うん、化粧のノリもいい感じだわ!朝食前に漢方薬飲んでしょうがを食べて、よーし!いざしゅっぱーつ!バス亭までも割とスムーズに歩けたし、バスにも・・・ちょっとなまつばごっくんしたけど、なんとか乗れた!やったー!!!・・・っと思ったのもつかの間、バスが半分ほどきた頃、呼吸が少し苦しくなり手すりを握っている手も汗でビッショリ・・。心臓もドキドキドキ・・・。
「お願い、早く着いて・・」
そう思いながら具合の悪さを紛らわせたくて、ギュっと下唇を噛んだ。 少し気が遠くなりかけた頃、やっと会社近くのバス停に着いた。うつむき加減で足早にオフィスビルに入り会社のドアを開けると、いきなり先輩の顔。
「あら、なみちゃんお久しぶり」
「せ、先輩、お久しぶりです。長々とお休みさせていただいて申し訳ありません・・・あの、着いたばかりで何なんですが・・・少し奥で休ませていただいてもよろしいでしょうか・・」
「えっ?また具合わるいの?・・そういえば顔色が・・・、いいよ、休んでて」
すみませんと頭を下げて、パソコンが5台づつ3列に並んでる部屋を抜け、その奥の昼食などを食べる畳の部屋に行き、バックを置くのも、もどかしく横になった。あいかわらず心臓はドキドキしてるし、頭はボーっとして気持ちも悪い。
しばらくすると閉めてあるふすまの向こうで、CADを習いに来ている人たちの話し声や物音が聞こえてきた。ここは、いろいろな建設会社の新入社員や、少し年配の子会社の社長さんなどがCADを習いに来ていた。先輩がなにやら説明する声が聞こえると、その後カチャ、カチャ・・とキーをたたく音だけが聞こえ始めた。その音を聞きながら、私は少しウトウトした・・。
昼のチャイムが鳴り、習いにきていた人達が食事に出て行くと、先輩がお弁当を持って、ガラッと入ってきた。
「なみちゃん、お昼ご飯は?」
「・・はい、買ってこようと思ったのですが、具合悪くなって買って来ていません」
「そう、なんか出前とる?」
「いいえ・・食べれそうにないので・・。すみませんが、もう少し横になっていてもいいですか?」
「うん」
そう言うと先輩はテレビをつけ、コンビニの弁当をバリバリ音をたてながら開けた。プーンと揚げ物や煮物の匂いがして、思わず鼻を押さえた。今の状態の私にはこれらの匂いはきつい!先輩は、私の存在など無視するように、テレビの方を向きクチャクチャ、音をたてながら食べる。
しばらく我慢してたけど、もう限界・・。すっかり気持ち悪くなってしまった。
「あの・・・すみません」
「ん?何?」
「あの・・・・・、やっぱり体調良くなりそうにないので、本当に申し訳ないんですけど今日はもう帰らせていただいてもいいですか・・」
「うん、その方がいいかもね。ちゃんと帰れる?」
「はい、久しぶりにきたのに、こんな事になってすみませんでした」
失礼しますと頭を下げ逃げるように部屋を出た。階段まで来ると少し深呼吸する。・・だめだ、まだお弁当の匂いが鼻についてなんかムカムカする・・・。下に降りてタクシーをひろい乗り込んだ。
タクシーの中で、気持ち悪くならないように両手をギューっと痛いほど握り締める。 窓から見上げた空は、もう夏のように青かった。
(某年7月11日)
結局あれからまたずっと会社休んでいる。あの日をきっかけに、なんかますます自信がなくなり、とても出かけられるような気分になれなくなっていた。そんな私を同居している両親は、「怠け病だ!」と言った。・・・そう言われた時は「違う!そんなんじゃない!!」って思ったけど、果たしてそうだろうか・・?
すし詰め状態のバスに一時間近くも乗る度に、(もう、こんな毎日嫌!こんなギュウギュウづめのバスなんかに乗らなくてもすむような、生活がしたい!)って思ってたし、狭い部屋で10人前後のCADを習いに来ている人達を見ながら、質問されるまでジーっとイスに座っているのも息苦しかったし、そもそも私はCADが好きではなかった。なんかもっとほかに自分にしか出来ない、夢中になれる事があるんじゃないか・・といつも思っていた。そう、会社に行くことを私は好きではなかったのだ。そして、実際行けなくなって・・・怠け病と言われるのもけして間違いではないのかもしれない。
結局あれからまたずっと会社休んでいる。あの日をきっかけに、なんかますます自信がなくなり、とても出かけられるような気分になれなくなっていた。そんな私を同居している両親は、「怠け病だ!」と言った。・・・そう言われた時は「違う!そんなんじゃない!!」って思ったけど、果たしてそうだろうか・・?
すし詰め状態のバスに一時間近くも乗る度に、(もう、こんな毎日嫌!こんなギュウギュウづめのバスなんかに乗らなくてもすむような、生活がしたい!)って思ってたし、狭い部屋で10人前後のCADを習いに来ている人達を見ながら、質問されるまでジーっとイスに座っているのも息苦しかったし、そもそも私はCADが好きではなかった。なんかもっとほかに自分にしか出来ない、夢中になれる事があるんじゃないか・・といつも思っていた。そう、会社に行くことを私は好きではなかったのだ。そして、実際行けなくなって・・・怠け病と言われるのもけして間違いではないのかもしれない。
その日の午後、シノから電話がかかってきた。
「なみ、元気?あれから体調どうなの?」
明るい声が受話器からながれる。時計を見たら12時半すぎ。たぶんお昼休みなのだろう。
私は、2人でドライブに行ったあの日からの出来事を話した。
「そっかぁ、なんか大変やね。でも、病院では身体どこも悪くないっていってたんでしょ?だったら大丈夫だよ!昔から(病は気から)なーんて言うし。気持ち悪くなったりするのだって、たぶん気の持ちようよ!なみはすぐ、深刻に考えちゃう癖があるんだから。とにかく、早くまた元気になってご飯でも食べに行こう!」
「・・・そうね」
私はそう言うと受話器を置いた。
(病は気から)・・・今の私がそうだとしたら、もうとっくに良くなってる。突然こんな症状が起こって、それでもなんとか会社に行こうと頑張ったし、元気になりたいから病院にもいった。漢方薬だって飲んでる。誰よりも私が一番治りたいって思ってるのに・・。 シノは身体が小さいわりに、私よりずっと丈夫で風邪もめったにひかないし、寝込んだこともない。シノの健康さがうらやましく、ねたましくもあった。
しょせん、病気なんてなった人にしか、気持ちも苦しみもわからないのよ!
思わずベットにもぐりこんだ。
今の自分が嫌になりそう。身体のこともだし、せっかくシノが電話くれたのにこんなふうにしか考えられないなんて!
しばらく横になってるうちに、ものすごい睡魔が襲ってきた。
なんか最近一日中眠いし、身体がすごく重い・・。私は睡魔に引きずられるように目を閉じた。
「なみ、元気?あれから体調どうなの?」
明るい声が受話器からながれる。時計を見たら12時半すぎ。たぶんお昼休みなのだろう。
私は、2人でドライブに行ったあの日からの出来事を話した。
「そっかぁ、なんか大変やね。でも、病院では身体どこも悪くないっていってたんでしょ?だったら大丈夫だよ!昔から(病は気から)なーんて言うし。気持ち悪くなったりするのだって、たぶん気の持ちようよ!なみはすぐ、深刻に考えちゃう癖があるんだから。とにかく、早くまた元気になってご飯でも食べに行こう!」
「・・・そうね」
私はそう言うと受話器を置いた。
(病は気から)・・・今の私がそうだとしたら、もうとっくに良くなってる。突然こんな症状が起こって、それでもなんとか会社に行こうと頑張ったし、元気になりたいから病院にもいった。漢方薬だって飲んでる。誰よりも私が一番治りたいって思ってるのに・・。 シノは身体が小さいわりに、私よりずっと丈夫で風邪もめったにひかないし、寝込んだこともない。シノの健康さがうらやましく、ねたましくもあった。
しょせん、病気なんてなった人にしか、気持ちも苦しみもわからないのよ!
思わずベットにもぐりこんだ。
今の自分が嫌になりそう。身体のこともだし、せっかくシノが電話くれたのにこんなふうにしか考えられないなんて!
しばらく横になってるうちに、ものすごい睡魔が襲ってきた。
なんか最近一日中眠いし、身体がすごく重い・・。私は睡魔に引きずられるように目を閉じた。
この度、「綾乃のちょこっと日記」を別ブログにお引越しすることになりました
もしよかったら、これからも時々あそびに行ってみてくださいね
「綾乃のちょこっと日記」
http://yaplog.jp/ac7001/
もしよかったら、これからも時々あそびに行ってみてくださいね
「綾乃のちょこっと日記」
http://yaplog.jp/ac7001/
(某年7月17日)
結局、あれからすっかり自信もなくなって、ずっと会社休んでいる。
でも、今日は空がものすごくきれいに澄み渡っているせいか、なんとなく気分がよかった。
それを察したのか、母が
「もし、具合よければ、お買い物でもいってみる?」
と、言ってくれた。私も今日は久しぶりに外に出てみたくなって、お昼食べたら、二人でバスに乗って近くのショッピングセンターに行く事にした。
昼食も終わり、1時すぎてから、母とバス亭に向かった。
母といるせいか、バス亭までの間、気持ち悪くもならず、それより話すことが、いまいちなくて変に照れた。
バス亭に着くとさっそく、目当てのショッピングセンター行きのバスが来て私たちはそれに乗り込んだ。平日の昼間なのに、けっこう混んでて、前の方に一人席用のイスが一つだけ空いていた。
「ここに座っとき」と、母をそのイスに座らせた。久しぶりの外出で母も嬉しそうだし、私も母との買い物が楽しみだった。
もうすぐ着くという時に、突然またあの意識が遠のくような、不快感に襲われた・・・。私は母に悟られまいと顔を運転席の方に向ける。手がビッショリ汗ばんでいた。
そうしているうちにやっと目的地に着いた。バスを降りると私は座り込んで口を押さえた。
「なみ、どうしたの?気分悪い?」
「・・・ん、ごめんね、せっかく着たのに・・歩けそうにない、ごめんね」
いいよ、と母は背中をさすってくれながらタクシーをひろってくれた。
「さぁ、これに乗ってもう帰ろう」
母と一緒に今度は家に帰るためのタクシーに乗った。
しかし、タクシーの中では私の具合も最悪で、運転手さんに嫌な顔されるのもいちいち気にしてられず、窓を開けたり閉めたり、深呼吸を繰り返したり、もうろうとしながら「もう駄目だ、降りる!」と言っては母を困らせたり・・・。
結局、あれからすっかり自信もなくなって、ずっと会社休んでいる。
でも、今日は空がものすごくきれいに澄み渡っているせいか、なんとなく気分がよかった。
それを察したのか、母が
「もし、具合よければ、お買い物でもいってみる?」
と、言ってくれた。私も今日は久しぶりに外に出てみたくなって、お昼食べたら、二人でバスに乗って近くのショッピングセンターに行く事にした。
昼食も終わり、1時すぎてから、母とバス亭に向かった。
母といるせいか、バス亭までの間、気持ち悪くもならず、それより話すことが、いまいちなくて変に照れた。
バス亭に着くとさっそく、目当てのショッピングセンター行きのバスが来て私たちはそれに乗り込んだ。平日の昼間なのに、けっこう混んでて、前の方に一人席用のイスが一つだけ空いていた。
「ここに座っとき」と、母をそのイスに座らせた。久しぶりの外出で母も嬉しそうだし、私も母との買い物が楽しみだった。
もうすぐ着くという時に、突然またあの意識が遠のくような、不快感に襲われた・・・。私は母に悟られまいと顔を運転席の方に向ける。手がビッショリ汗ばんでいた。
そうしているうちにやっと目的地に着いた。バスを降りると私は座り込んで口を押さえた。
「なみ、どうしたの?気分悪い?」
「・・・ん、ごめんね、せっかく着たのに・・歩けそうにない、ごめんね」
いいよ、と母は背中をさすってくれながらタクシーをひろってくれた。
「さぁ、これに乗ってもう帰ろう」
母と一緒に今度は家に帰るためのタクシーに乗った。
しかし、タクシーの中では私の具合も最悪で、運転手さんに嫌な顔されるのもいちいち気にしてられず、窓を開けたり閉めたり、深呼吸を繰り返したり、もうろうとしながら「もう駄目だ、降りる!」と言っては母を困らせたり・・・。
やがて、タクシーが家の前に着くと私は飛び出すように外に出て急いでうちに入り、自分の部屋に入ると荒い呼吸のままベットに転がり込んだ。・・・しばらくしても、タクシーが走り出す音もせず、母も帰ってこない。(・・・気難しそうな運転手さんだったから、お母さん、私のことでなにか言われてるのかな・・・)
心配でたまらなかったけど、立ち上がって窓へ行く力はなかった・・。しばらく、ベットに横たわっていると車の走り出す音と、玄関を開ける音。そして、母の足音が近づいてきた。
「・・なみ、入っていい?」
「うん・・」
「具合どう?」
「・・・ん、それより、なんか言われた?運転手さんに。私、なんか頭グルグルしてて、うるさくしてたし・・・」
「うん、しょうがないよ・・。それよりちゃんと布団きて今日は休んでなさいね、いまから夕飯のお買い物いってくるから」
そう言うと、母は部屋から出て行った。
それと同時に涙がボロボロ溢れてきた。とにかく母に申し訳なかった。せっかく、ショッピングセンターまでバスで行ったのに、母も久しぶりに出かけて買い物楽しみにしていただろうに・・・。着いてすぐ、タクシーでUターンして、運転手さんに怒られて・・・
ごめんね、ごめんね、お母さん。本当なら今頃二人でいろんなお店覗いたり、ショッピングしたり、夕ご飯の材料一緒に選んだりしていたのにね・・・。自分が情けないよ・・・。ホントにごめんね、お母さん・・・・・。
心配でたまらなかったけど、立ち上がって窓へ行く力はなかった・・。しばらく、ベットに横たわっていると車の走り出す音と、玄関を開ける音。そして、母の足音が近づいてきた。
「・・なみ、入っていい?」
「うん・・」
「具合どう?」
「・・・ん、それより、なんか言われた?運転手さんに。私、なんか頭グルグルしてて、うるさくしてたし・・・」
「うん、しょうがないよ・・。それよりちゃんと布団きて今日は休んでなさいね、いまから夕飯のお買い物いってくるから」
そう言うと、母は部屋から出て行った。
それと同時に涙がボロボロ溢れてきた。とにかく母に申し訳なかった。せっかく、ショッピングセンターまでバスで行ったのに、母も久しぶりに出かけて買い物楽しみにしていただろうに・・・。着いてすぐ、タクシーでUターンして、運転手さんに怒られて・・・
ごめんね、ごめんね、お母さん。本当なら今頃二人でいろんなお店覗いたり、ショッピングしたり、夕ご飯の材料一緒に選んだりしていたのにね・・・。自分が情けないよ・・・。ホントにごめんね、お母さん・・・・・。
(某年7月18日)
今朝も朝食あまり食べれずに、部屋にもどりボンヤリと白い雲を見つめながら、(そういえば、漢方薬も飲んでしまったけどなんか、何にも変わってないような・・・。続ければ、いいんだろうけど、会社ずっと休んでてお金もないしなぁ)なんて考えてると、両親が「ちょっといい?」と部屋に入って来た。
「なみ、まだ調子良くないでしょ?お仕事もずいぶん休ませていただいてるし、今日はお父さんとお母さんで会社に行って、ちょっと所長さんにご挨拶してこようと思うんだけど」
(えぇー、そんな大袈裟な・・・。)一瞬顔がひきつった。
「だって、会社遠いし、場所も結構わかりにくい所にあるよ・・・」
「大丈夫。だいたいわかるよ。それに、なみがどんな所で働いてたかも見ておきたいしね」
今朝も朝食あまり食べれずに、部屋にもどりボンヤリと白い雲を見つめながら、(そういえば、漢方薬も飲んでしまったけどなんか、何にも変わってないような・・・。続ければ、いいんだろうけど、会社ずっと休んでてお金もないしなぁ)なんて考えてると、両親が「ちょっといい?」と部屋に入って来た。
「なみ、まだ調子良くないでしょ?お仕事もずいぶん休ませていただいてるし、今日はお父さんとお母さんで会社に行って、ちょっと所長さんにご挨拶してこようと思うんだけど」
(えぇー、そんな大袈裟な・・・。)一瞬顔がひきつった。
「だって、会社遠いし、場所も結構わかりにくい所にあるよ・・・」
「大丈夫。だいたいわかるよ。それに、なみがどんな所で働いてたかも見ておきたいしね」
それだけ言うと、私の意見を聞くまでもなく、両親はそそくさと部屋を出て行きそのおよそ30分後には出かけてしまった。
「行って何は話すんだろ?だいたい、ほんとに場所わかるのかなぁ?
」と、約3時間、落ち着かないまま気づけば、午後の1時のチャイムが・・と同時に両親は何事もなかったかのように帰ってきた。
「なみー、お腹すいたやろ、パンかってきたから食べよう」
母の声。私はなかばおそるおそる階下に降りた。しかし、両親の表情はいたって普通・・・。
テーブルに座って、母の入れてくれたコーヒーを飲みながら皿に溢れんばかりに並べてある調理パンを少しほうばった。
「結構、遠いな」と、父。
「ほんとねぇ、1時間近くかかったわよ!、ラッシュの時はもっと大変なんじゃない?」
私はコクリとうなずく。
「でも、所長さんはずいぶん感じのいい人だったね。なみのことも心配してたよ。」
(今日は所長さん、いたんだ)
所長は営業担当で、いつもは出張だ、外回りだ、で会社にいることは少ない。
「もう一人なみよりちょっと年上の女性もいたね」
「うん、先輩なの・・・」
「あの人もなみのこと気にかけてくれてたよ」
「・・・・・・」
「とりあえず、もう少し休ませて頂けるようにお願いしてきたから、
なみは安心して、しばらくゆっくりしてなさい」
一時は「怠け病だ!」とさえ言っていた両親の変わりよう。
多少、不気味ではあるがおかげで気持ちはずいぶん楽になった。
そんなある日、両親そろって留守の日、階下に下りて私は見てしまった。父の本棚に見慣れぬ真新しい本。
その表紙にはこんな題名が書いてあった。
「自律神経失調症について・・家族の理解で乗り越えよう!」
な〜るほど・・・。
な〜んか笑いが出た・・、と同時に涙もちょっと出た。
「行って何は話すんだろ?だいたい、ほんとに場所わかるのかなぁ?
」と、約3時間、落ち着かないまま気づけば、午後の1時のチャイムが・・と同時に両親は何事もなかったかのように帰ってきた。
「なみー、お腹すいたやろ、パンかってきたから食べよう」
母の声。私はなかばおそるおそる階下に降りた。しかし、両親の表情はいたって普通・・・。
テーブルに座って、母の入れてくれたコーヒーを飲みながら皿に溢れんばかりに並べてある調理パンを少しほうばった。
「結構、遠いな」と、父。
「ほんとねぇ、1時間近くかかったわよ!、ラッシュの時はもっと大変なんじゃない?」
私はコクリとうなずく。
「でも、所長さんはずいぶん感じのいい人だったね。なみのことも心配してたよ。」
(今日は所長さん、いたんだ)
所長は営業担当で、いつもは出張だ、外回りだ、で会社にいることは少ない。
「もう一人なみよりちょっと年上の女性もいたね」
「うん、先輩なの・・・」
「あの人もなみのこと気にかけてくれてたよ」
「・・・・・・」
「とりあえず、もう少し休ませて頂けるようにお願いしてきたから、
なみは安心して、しばらくゆっくりしてなさい」
一時は「怠け病だ!」とさえ言っていた両親の変わりよう。
多少、不気味ではあるがおかげで気持ちはずいぶん楽になった。
そんなある日、両親そろって留守の日、階下に下りて私は見てしまった。父の本棚に見慣れぬ真新しい本。
その表紙にはこんな題名が書いてあった。
「自律神経失調症について・・家族の理解で乗り越えよう!」
な〜るほど・・・。
な〜んか笑いが出た・・、と同時に涙もちょっと出た。
(某年7月22日)
「今日調子良かったら、護国神社にいってみる?」
母が朝ごはんを食べながら言った。
護国神社とは、戦争でなくなった兵隊さん達をまつってある神社だ。
お盆になると、一人一人戦没者の名前が書かれた四角い提灯がたくさん飾られ、その提灯には、これまた綺麗に蓮の花やひまわり、うちわや蝉、花火などの絵が一つ一つ描かれている。屋台なども出て、お盆の期間、「みたままつり」と呼ばれ、おおいに人で賑わった。
母の父、つまり私の祖父(写真でしか見たことないが・・)も兵隊さんで、戦争に行ってなくなったので毎年お盆の前になると、提灯を作ってもらうため、神社にお金を納めに行くのだ。
「今日調子良かったら、護国神社にいってみる?」
母が朝ごはんを食べながら言った。
護国神社とは、戦争でなくなった兵隊さん達をまつってある神社だ。
お盆になると、一人一人戦没者の名前が書かれた四角い提灯がたくさん飾られ、その提灯には、これまた綺麗に蓮の花やひまわり、うちわや蝉、花火などの絵が一つ一つ描かれている。屋台なども出て、お盆の期間、「みたままつり」と呼ばれ、おおいに人で賑わった。
母の父、つまり私の祖父(写真でしか見たことないが・・)も兵隊さんで、戦争に行ってなくなったので毎年お盆の前になると、提灯を作ってもらうため、神社にお金を納めに行くのだ。
仏壇の上には、数年前になくなった着物姿の祖母の隣で、軍服を着て帽子をかぶりキリリとした、まだ若い祖父のモノクロの写真が飾られている。
その写真を見る度に、会って話しをしたかったといつも思う。この、とても凛々しい祖父はどういう人でどんな考えを持っていたのだろう、どういう話し方をして、笑うとどんな笑顔をしていたのだろうか・・と。
私は祖母のことがとても好きだった。
いつも厳しく、きちんとしていて、ものすごく働き者で、でも時々急におもしろい事を言っては、私やいとこ達を笑わせてくれた。そんな祖母を、戦争でなくなった祖父はどのように愛していたのだろうか・・。
護国神社には行きたいと思った。
でも、またこの前のように行く途中で具合が悪くなったら・・という不安も大きかった。
その写真を見る度に、会って話しをしたかったといつも思う。この、とても凛々しい祖父はどういう人でどんな考えを持っていたのだろう、どういう話し方をして、笑うとどんな笑顔をしていたのだろうか・・と。
私は祖母のことがとても好きだった。
いつも厳しく、きちんとしていて、ものすごく働き者で、でも時々急におもしろい事を言っては、私やいとこ達を笑わせてくれた。そんな祖母を、戦争でなくなった祖父はどのように愛していたのだろうか・・。
護国神社には行きたいと思った。
でも、またこの前のように行く途中で具合が悪くなったら・・という不安も大きかった。
そんな私の気持ちを察してか
「無理しなくてもいいよ。なみ、調子あんまり良くなかったら、お母さん一人で行ってくるから」と母。
「・・・うん、行きたいけど・・またこの前みたくなんないかなぁって思って・・」
「そうねぇ・・、でもこの前買い物行った時より神社は近いから、バスですぐだし大丈夫とは思うけど。もし、行けそうなら用意しときなさい。11時には行くから」
「うん、わかった」
部屋に戻ってどうしようか考えた。また、買い物行った時みたいに母に迷惑かけたくなかったし、バスに乗るって思うだけで胸がドキドキしてくる・・。
窓から見える空は青く、小さな白い雲がゆっくりとながれていた。
(行ってみよう!)
しばらくの間、ぼんやりと真っ白な雲と青い空を見てたらなんとなく、そう思った。
簡単に身支度をすませ、階下に降りていくとちょうど着替え終わった母が振り向いて、「あら、行けそう?」と笑った。
「じゃあ、ちょっと早いけど行ってみようか」
「うん」
11時の予定が10時半すぎに二人で家を出た。
バス亭までは、初夏の気持ちのいい陽気の中、母とたわいもない話をしていると、割りとすんなり着くことができた。でも、バス亭に着いたとたん、また胸がドキドキしてきて、私は何度か深呼吸をした。
すぐにバスがきて、私と母は乗り込んだ。時間帯のせいかバスの中はガラガラで、おかげで二人並んで座ることができた。バスがすいてるせいか、窓が開いてて心地いい風が入ってくるからか、最初の頃は気分が落ち着いていた。だが、5分もすると、またドキドキしてきて、手のひらもじっとり汗ばんできた。喉がカラカラになり不安感で頭がボーっとしてくる。
私は気を紛らわせたくて、運転席の方を見たり反対側の窓を見たりと視線をただよわせた。
(お願い、早く着いて・・・)
祈るような気持ちで私は外を見つめた。
「無理しなくてもいいよ。なみ、調子あんまり良くなかったら、お母さん一人で行ってくるから」と母。
「・・・うん、行きたいけど・・またこの前みたくなんないかなぁって思って・・」
「そうねぇ・・、でもこの前買い物行った時より神社は近いから、バスですぐだし大丈夫とは思うけど。もし、行けそうなら用意しときなさい。11時には行くから」
「うん、わかった」
部屋に戻ってどうしようか考えた。また、買い物行った時みたいに母に迷惑かけたくなかったし、バスに乗るって思うだけで胸がドキドキしてくる・・。
窓から見える空は青く、小さな白い雲がゆっくりとながれていた。
(行ってみよう!)
しばらくの間、ぼんやりと真っ白な雲と青い空を見てたらなんとなく、そう思った。
簡単に身支度をすませ、階下に降りていくとちょうど着替え終わった母が振り向いて、「あら、行けそう?」と笑った。
「じゃあ、ちょっと早いけど行ってみようか」
「うん」
11時の予定が10時半すぎに二人で家を出た。
バス亭までは、初夏の気持ちのいい陽気の中、母とたわいもない話をしていると、割りとすんなり着くことができた。でも、バス亭に着いたとたん、また胸がドキドキしてきて、私は何度か深呼吸をした。
すぐにバスがきて、私と母は乗り込んだ。時間帯のせいかバスの中はガラガラで、おかげで二人並んで座ることができた。バスがすいてるせいか、窓が開いてて心地いい風が入ってくるからか、最初の頃は気分が落ち着いていた。だが、5分もすると、またドキドキしてきて、手のひらもじっとり汗ばんできた。喉がカラカラになり不安感で頭がボーっとしてくる。
私は気を紛らわせたくて、運転席の方を見たり反対側の窓を見たりと視線をただよわせた。
(お願い、早く着いて・・・)
祈るような気持ちで私は外を見つめた。
そんな私の祈りが届いたのか、信号は青が続きバスは思ったよりも早く神社前のバス亭に着いた。バスを降りると胸のつかえがとれ、スーっと気持ちが楽になった。
神社までの、木がおおいしげった道は、空気が少しひんやりして緑の香りがとても心地いい。神社に着き、母が事務所に行っている間、私は広い境内の芝生で、走り回って遊ぶ子犬や、のんびりと散歩している親子連れをぼんやり眺めてた。少し日差しは強かったが、肌にささる太陽の光が私の身体の細胞に染み渡る感じがして気持ち良く、思わず「う〜ん」と両手を上げてのびをした。
「さぁ、用事、終わったから帰ろうか?」
戻ってきた母が言う。
「今日は天気もいいし、のんびり歩いて帰る?裏道通ればバスで帰るのと時間はそんなに変わらないし」
多分、母はバスの中での私の様子に気づいていたのだろう・・。
正直、またバスに乗ると思うと気が重かった私は母の言葉が嬉しかった。
「うん!歩いて帰りたい!」
「じゃ、行こうか」
私と母はほとんど車の通らない静かな道を歩きはじめた。明るい日差しのせいか、晴れ渡った空のせいか、こうやって母とのんびり歩くのはなんだかとても楽しかった。
「やっぱり、バスよりこうして歩く方が気持ちいいね!」
「そうだね」と母もニッコリ。
「そこにスーパーがあるから、買い物して帰ろうか?なみ、なにか食べたい物があったら買っていいよ」
私達はスーパーに入った。そういえば、スーパーに来るのも久しぶり。食べたい物・・と母が言ったのは、たぶん私が最近あまり食べなくなったのを心配しての事かもしれない。実際ここ何日か全然食欲がなく体重もずいぶん減っていたのだ。
しばらくウロウロすると、ゼリーが目に付いた。
(冷たくひやしたらおいしそう・・)と、見てると母もやって来た。
「あら、ゼリー。おいしそうね!お母さんも食べたいから、なみ、いくつか選んでよ。帰って食べよう」
オレンジやブドウ、アップルなど色とりどりのゼリーをお言葉に甘えて五つほど選び、母の持っていたスーパーのカゴに入れた。会計を済ませ、母と半分ずつ荷物を持ち、静かな道を家路に着いた。
家に着いて軽く昼食をとった後、冷蔵庫に冷やしておいたゼリーを食べる。ツルンと喉越しがよく、甘い香りが口いっぱいに広がってとてもおいしい。ゼリーは窓からの光を受けて、スプーンですくうとキラキラと光っていた。
神社までの、木がおおいしげった道は、空気が少しひんやりして緑の香りがとても心地いい。神社に着き、母が事務所に行っている間、私は広い境内の芝生で、走り回って遊ぶ子犬や、のんびりと散歩している親子連れをぼんやり眺めてた。少し日差しは強かったが、肌にささる太陽の光が私の身体の細胞に染み渡る感じがして気持ち良く、思わず「う〜ん」と両手を上げてのびをした。
「さぁ、用事、終わったから帰ろうか?」
戻ってきた母が言う。
「今日は天気もいいし、のんびり歩いて帰る?裏道通ればバスで帰るのと時間はそんなに変わらないし」
多分、母はバスの中での私の様子に気づいていたのだろう・・。
正直、またバスに乗ると思うと気が重かった私は母の言葉が嬉しかった。
「うん!歩いて帰りたい!」
「じゃ、行こうか」
私と母はほとんど車の通らない静かな道を歩きはじめた。明るい日差しのせいか、晴れ渡った空のせいか、こうやって母とのんびり歩くのはなんだかとても楽しかった。
「やっぱり、バスよりこうして歩く方が気持ちいいね!」
「そうだね」と母もニッコリ。
「そこにスーパーがあるから、買い物して帰ろうか?なみ、なにか食べたい物があったら買っていいよ」
私達はスーパーに入った。そういえば、スーパーに来るのも久しぶり。食べたい物・・と母が言ったのは、たぶん私が最近あまり食べなくなったのを心配しての事かもしれない。実際ここ何日か全然食欲がなく体重もずいぶん減っていたのだ。
しばらくウロウロすると、ゼリーが目に付いた。
(冷たくひやしたらおいしそう・・)と、見てると母もやって来た。
「あら、ゼリー。おいしそうね!お母さんも食べたいから、なみ、いくつか選んでよ。帰って食べよう」
オレンジやブドウ、アップルなど色とりどりのゼリーをお言葉に甘えて五つほど選び、母の持っていたスーパーのカゴに入れた。会計を済ませ、母と半分ずつ荷物を持ち、静かな道を家路に着いた。
家に着いて軽く昼食をとった後、冷蔵庫に冷やしておいたゼリーを食べる。ツルンと喉越しがよく、甘い香りが口いっぱいに広がってとてもおいしい。ゼリーは窓からの光を受けて、スプーンですくうとキラキラと光っていた。
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